しあわせのかたち(漫画) ~おまえ・コイツ・べるのと過ごした日々~

Shiawase-no-katachi 1980年代
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    コミカルなキャラクターたちが見ていて楽しい。
    単純に漫画として面白い。ぶっ飛んだ展開。
作者桜玉吉
出版社アスキー
開始日1986年(昭和61年)6月6日

個人的に、ゲームパロディ漫画の金字塔。中学生のころに知って、ものすごくハマりました。
僕が最初に気に入ったのは、デフォルメ体形のキャラクターがたくさん出てきて楽しげにしているところ。しかも内容がゲーム(そのころすでにゲーム大好き少年でした)となれば、ハマるしかありませんでした。

おどろきマン

ある日、僕はファミコン通信というゲーム雑誌を買いました。前に読んでいたゲーム雑誌をやめて、次はどうしようかと思っていたんです。
そこに載っていたのが、しあわせのかたちの『遊遊夕月』でした。ディスクシステムのゲーム遊遊記のパロディだということはすぐにわかりました(ディスクシステムを持ってはいませんでしたが)。主人公とヒロインは原作よりコミカルに表現されていて、僕が好きな画風。一発でハートをつかまれてしまいました。

その号かもう少し先かは忘れましたが雑誌内に単行本2巻の宣伝ページがあり、主人公とヒロインは別の姿で描かれていました。それを見た僕は「この漫画はいろいろなゲームを扱っている」「主人公たちはいろいろな姿に扮する」と理解。「メインキャラがパロディ回で普段と違う姿になる」という書き方をジャンプのギャグ漫画(ついでにとんちんかん辺り)で知っていたお陰です。
2巻があるからには1巻があるはず(宣伝ページに「1巻も好評発売中!」とか書いてあったかも)。近所の書店にはなかったので、自宅から少し離れているものの顔見知りの本屋さんで注文することにしました。当時はまだインターネット注文なんてなかったんです。

連載している回は楽しんで読んでいましたが、『遊遊夕月』とタイトルが書いてあるところに毎回『決めました!』と書いてあったのは意味がわかりませんでした。僕が知識不足で理解できなかっただけで、わかる方にはわかるネタだったんでしょう。
この記事を書くにあたって調べてみると、黛ジュンという方が『夕月』というヒット曲を出していました。『夕々夕月決めました』は……CMか何かの言葉?
↑作者さん御本人が見たら頭を抱えてしまいそうな話ですが、僕自身は暗号を解読するように楽しんで調べました。自分が知らない世代のネタとかそういうものかと。

しばらくして1巻がうちに配達されました。すると親が先に見つけて、こう言ってきました。「子供っぽい絵」と。
黙れ。あんたは本当に昔から自分の趣味以外のものをくさして(ひどい愚痴なので省略)。
それはさておき、読み始めた僕はすぐ大喜びすることになりました。扱われているゲームはグラディウス、メトロイド、パルテナの鏡……そしてドラクエ2! タイトルは『ゆうめいRPGII』ですが、間違いありません(メーカーからの指摘でそうなったとか)。小学生のころに好きだったゲームと再会できて、とてもうれしかったです。食い入るように読みました。

主役を務めるのは『遊遊夕月』の主人公・ヒロイン+1人。最初の1人は「ムーンブルク城にハーゴンの軍勢が……」という個人的におなじみの出だしで旅立ち、仲間を集め、ルプガナがら出港。僕はこの後でアレフガルドに行きましたが、こっちの主人公たちはザハンに行きます。アレフガルドはその後。作者さんが行った順なんだろうなと思いました。
原作だと主人公たちはあっちこっちに行って情報やアイテムを集めますが、本作ではサクッとすっ飛ばして敵の本拠地ロンダルキアへ。
そしてラストバトル……親玉はすりガラスで姿を隠した状態(よく見ると頭の形や手の色が原作準拠)。メトロイドや悪魔城ドラキュラの回でもラスボスの姿をぼかしていたので、同じようにしているんだなと察しました。

残念だったのは、ドラクエ2を買う前の僕が本作を知らなかったこと。主人公名を自分の名前にしていましたが、『ゆうめいRPGII』のことを知っていたらこっちの名前にしたはず。

読み終えると今度は2巻を読みたい……相変わらず近所の書店にはなし。また親にああだこうだ言われそうですが、構わず注文。
僕には、親の目より気になることがありました。1巻の表紙部分では何人ものキャラクターがドラクエっぽく列を作っていますが、1巻にいない顔も……後ろの方にいるじいちゃんと紫髪の子です。この2人は何という名前でどういう役柄なのか……予想をいろいろ広げていました。

一方そのころ連載分では『遊遊夕月』が進んでいました。紫髪の子は出てくる様子なし。じいちゃんは4話目で登場しますが、2巻とどっちを先に見たかは覚えていません。

僕がドラクエ4を始めてしばらくたったころ、2巻が届きました。『しあわせのかたちスペシャル』が始まり、謎だった紫髪の子が1話目から登場。どういうキャラクターなのか、やっとわかりました。
始まった話はパロディ……? 僕が知らないゲーム? 何なのかはわかりませんでした(パロディではなかったようです)が、物語的にはすごく気に入りました。

主人公たちは謎の扉をくぐって別の世界へ飛ばされ、散り散りばらばら。3人まではすぐに集まりますが、最後の1人は行方知れず。仕方なしに主人公たちは現地の軍と行動を共にし、魔法軍と対決。ただし野球対決だったり(その途中で最後の1人が合流)、ドッジボール対決だったり、ファミコンウォーズ対決だったり。怪獣ものっぽくなる場合もあり。
やがて魔王よりも恐ろしい存在が……ギャグ漫画ではありますが、僕は冒険もののように読み進めました。

一方そのころ連載分では『遊遊夕月』が『遊遊ゆうめいRPGIV』に変化していました。
新しく付け足されたモチーフはドラクエ4。ドラクエ2同様にすごく好きなゲームだったので僕は喜んでいました。

こっちもラスボスをぼかす方針。『デ□□□□』と名前を出された時点で僕はクリアしていたのか、□の下が何か悟りました。そこもギャグとして使われて、別の文字になりますが。

視聴マン

『遊遊ゆうめいRPGIV』が終わり、Dr.マリオモチーフの『Dr.オリマ』開始。『しあわせのかたちスペシャル』のキャラが出ていてうれしかったんですが、僕は他のことも気になっていました。
『遊遊ゆうめいRPGIV』のどこか(多分)で、柱部分に「しあわせのかたちOVA化決定!」とか書いてあったことです。僕は即購入決定。とりあえず予算を集めておきました。お金を貯める習慣があったのでそこはどうにかなりましたが、続報がない……
うずうずしていると、『Dr.オリマ』の2話目で登場人物たちがOVAについて語ってくれました。僕はさっそく注文。このときはもう顔見知りの本屋さんが閉業していたのかも……僕は近所の書店にあるビデオレンタルコーナーに頼みました。今思うと「レンタルコーナーに頼んでも駄目じゃない?」という気もしますが、しばらくして届きました。

そしてこっそり視聴。こっそりなのは親にああだこうだ言われそうで嫌だからです。中高生がこっそり見るビデオなら別のジャンルだろうと思いますが、僕の場合はこれでした。
画面の向こうでいつものキャラクターたちが動く! しゃべる! それだけでも感動的でした。

「ま~るくもなければしかくくもない」というオープニングを初めて見たときの喜びは今も覚えています。

1話目は本作のいろいろなところから集めた内容。2話目はバトルヒロインもの……これは何? 面白いからよし! ワンダーモモというゲームのパロディだったんですが、それが載る3巻はまだ発売されていませんでした。

連載分ではF-ZEROモチーフの『エフゼロエグゼス』が始まりましたが、休載に入ってしまいました。残念なことは更に続き、ファミ通の週刊化と同時に本作はパロディ漫画からエッセイ漫画に以降。僕が気に入っていたキャラたちは出番が減っていきました。

著作権のことがきびしくなってきて以前までのようにはいかなくなったのかもしれませんが、僕には悲しいことでした。そして僕のマイブームは他のものへ……
エッセイ漫画になってからの方が面白いという方もいます(僕の友人にもそのタイプがいます)。こっちはこっちで人気だったんでしょう。連載が続いていたことこそその証拠だと思います。
やがて連載自体が終わりましたが、しあわせのかたちは間違いなく僕の中で1つの時代を作っていました。
あのときの単行本もOVAも今は僕の手元にありません。しかし電子書籍版は確保してあり、今でも読むと昔の感覚を思い出すことができます。

これはもう青春だろ!

そうですね……

現在、作者さんはコミックビームで書いていらっしゃいます。もうゲームパロディ漫画を書くわけにはいかないんだと思います。それは残念ですが、活動を続けてくださっていること自体がありがたい話なんだと思います。

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