- 先に今回の結論
久しぶりにゲームで遊んだ人とずっとゲームで遊んでいた人では感想が変わる。
久しぶりにゲームをしたプレイヤーはHD-2D版ドラクエ3を懐かしく感じやすい。
慣れているプレイヤーはHD-2D版ドラクエ3を物足りなく感じやすい。
タイトル | ドラゴンクエストIII そして伝説へ… |
略称 | ドラクエ3 ドラクエIII DQ3 DQIII |
機種 | Nintendo Switch PS5 XboxSeriesX/S PC(Microsoft Store、Steam) |
メーカー | スクウェア・エニックス |
発売日 | 2024年(令和6年)11月14日 |
発売までの流れ
- 2021年5月27日、ドラゴンクエスト35周年記念特番でHD-2D版ドラクエ3の制作が発表。
- 2024年6月18日、Nintendo Directで発売日発表。
- 2024年11月14日発売。
「配信禁止区域は作らない」「ただし1か月後まではクリア後のことをネタバレしないように」
HD-2D版ドラクエ3は賛否両論?
ファミコンで発売されたドラクエ3は社会現象にまでなったゲーム。僕たちファミコン世代には忘れられない作品です。
ドラクエ3はスーパーファミコンやゲームボーイカラーなどいろいろなハードでリメイクされ、SwitchやPS5などにも登場。スマートフォン版ベースの移植作でも遊べるようになっていましたが、新しく現れたドラクエ3はHD-2Dという技術で作られていました。
- ドットと3D-CGをくっつけ合わせたようなもの。
- ドットだけど立体的に見える。
- 今風の派手なエフェクトも可能。
- 本作の他にはオクトパストラベラーなどで使われている技術。
ファミコン版ドラクエ3がどのくらい売れたんだろうと調べてみると、国内で380万本。ファミコンソフトの売り上げだと、この上にはスーパーマリオブラザーズ1とスーパーマリオブラザーズ3しかいません。
HD-2D版ドラクエ3はどうだったかと言うと、ファミ通のランキング(パッケージ版)で見てみるとSwitch版だけで97万本。PS5版を入れれば100万本を超えます。
じわじわ売れているし今どきはダウンロード版もあるので、最終的な合計はもっとすごい数になるはずです。

2024年の年間ランキングではSwitch版が2位。
周りを見ると、上にマリオパーティジャンボリー。下にマリオカート8デラックスとスーパーマリオワンダー。ドラクエもマリオも人気は昔同様なのかも。
そんなに売れたんだから大好評に違いない、と思いつつネットを見ると……
- 「ドラクエ3面白い!」
- 「ドラクエ3はつまらない……」
HD-2D版ドラクエ3の評価が分かれています。
どうしてこんなことになっているんでしょうか。
HD-2D版ドラクエ3の様子
変わらないドラクエ

起動させると流れるのはいつものロトのテーマ。作品によってドラゴンクエストマーチだったり序曲のマーチだったりするアレです。
ゲームが始まるとドットなのに立体的なHD-2Dの世界が広がり、ファミコンのころから技術が進歩していると感じることができます。
イベントは強化されていて、かつてオルテガが旅立ったときにどういう雰囲気だったか描写されたり勇者とルイーダの関係が表現されたり……
もしかすると、ファミコン版のドラクエ3を作ったときから堀井さんの中にはこういう世界があったのかもしれません。
しかし、ファミコン版のときは容量の制限や技術の制限が今よりずっと強くなっていました。技術が発達した今だからこそ、より堀井さんのイメージに近いものを作れたのでは。
変わりはしましたが、ベースにあるものはファミコン版のドラクエ3。久しぶりにドラクエ3をやった方もゲーム自体が久しぶりの方も懐かしさを味わえます。
追加された要素
違う部分の詳細はこっちの記事を読んでいただけばよりわかると思います。
特に大きいのは職業が増えたこと。
スーファミ版で追加された盗賊だけじゃありません。本作には魔物使いもいます。
魔物使いはドラクエ5のような仲間モンスターを戦闘で味方にする職ではなく、魔物っぽい特技を使ったりする職。
作中世界のあちこちにはぐれモンスターという魔物がいて、魔物使いがいると保護しやすくなります(いなくてもいいですが、ひと手間必要になることが多いです)。
はぐれモンスターはモンスター・バトルロードという闘技場のような施設で戦うようになります。
ファミコン版のドラクエ3だとモンスターの格闘場があり、勇者は観戦する立場でした。
一方、モンスター・バトルロードでの勇者はモンスターに大まかな指示を出す役。見る側から見られる側に変わっています。
はぐれモンスターに関してモンスター・バトルロードより存在感があるのは、魔物使いの特技まものよび。使うとモンスターが現れて敵に4連続でダメージを与えてくれます。
まものよびは味方にしたはぐれモンスターが多ければ多いほどダメージアップします。ダメージは敵の守備力に左右されず、マヌーサやマホトーンに邪魔されることがありません。
魔物使いが使う特技にはビーストモードというものもあります。ビーストモードを使うと1ターンの行動が2回連続になり、まものよびは4回攻撃だったのが8回攻撃に増えます。
このコンボを使えば大抵の敵に勝てます。2人以上でやれば更にダメージアップ。まものよびとビーストモードはHD-2D版ドラクエ3におけるぶっ壊れ特技というわけです。
勇者一行が強くなったんだから敵側も……ということなのかは知りませんが、モンスターたちもかなり強くなりました。
そこら辺の雑魚モンスターでも普通に複数回攻撃してきます。勇者たちと同じ特技を使ってくるモンスターもいます。
中ボスも追加され、どいつもこいつもかなりの強敵。特に手強いのはよみのばんにんとファントム。メーカーの皆さん、こいつらちょっとナーフしません?
「難しいゲームはちょっと……」という方には楽ちんプレイ。要するにイージーモードです。
「イージーモードもちょっと……」ということならレベル上げのときだけでも使ってみるといいです。
こういう変化はありますが、ファミコン版ドラクエ3の延長線上にある追加という感じ。
カレーにトンカツを乗せてカツカレーにしたようなものです。
現代のゲームの中のドラクエ
若い方々の反応
僕たちファミコン世代が熱狂したゲームなんだし、今の若い子たちにも受け入れられるに違いない!
そう思ってオススメしてみると、微妙な空気になることもあります。
僕は職場で小中学生に会うことがよくあり、「今、ドラクエ3をやっている」と話すと「うちの親もやってる」という答えが返ってくることもあります。
そう答えた本人がドラクエ3をやっているかと言うと、「僕もやってる!」なんて返されたことはありません。
今の若い子にはドラクエって昔のものなんだろうか……ゼルダが同期みたいなものなんですけど……
それともドラクエの勇者ってスマブラのキャラ……?
確かに、今どきのゲームは3D-CGで作中世界を作られたものばかり。
ドットの世界は古臭く感じるのかも……
他の突っ込まれていたこと
僕が「こうなってほしい」と思うことは大体この記事に書いてあります。
発売されてからもう2か月たちましたが、僕はまだ期待しています。
世間では「クリア後要素が難しい」ともよく言われています。
小さなメダルやはぐれモンスターを集めるところはクリア後のやり込みみたいなものだからこんなもんかも。
武器に関する話と宝箱のアイツはどうかな……
ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン
HD-2D版ドラクエ3の3週間前、ロマサガ2リベンジオブザセブンが発売されていました。
スーファミで発売されたときのロマサガ2はドラクエ3と同じ見下ろし型のRPG。バトルもドラクエ3と同じターン制。
しかしリメイクされたリベンジオブザセブンはキャラクターも作中世界も3D-CGで作られていて、バトルは元のターン制から微妙に変化しています。
追加要素は人気敵キャラ七英雄のイベント強化など。クリア後に別の姿の七英雄と戦うこともできます。
僕はリベンジオブザセブンで遊びながら考えていました。
「もう少し間を開けた方がよかったんじゃない?」
「近すぎると比べられそう」
案の定、ネットではリベンジオブザセブンとHD-2D版ドラクエ3を比較した意見が出てきました。
「ドラクエ3はロマサガ2みたいにした方がよかったんじゃない?」と。
ドラクエ8やドラクエ10(オンライン)みたいな3D-CGの世界にすると、かなり雰囲気が変わります。
そうすれば少なくとも「古臭い」と言われることは減りそう。
しかし、本当にそれでいいんでしょうか。
2種類のプレイヤー

僕は小学生のころからほとんどの時期でゲームに触れていたタイプ。ファミコン、スーファミ……そして現在のSwitchと、ゲームの変化を見てきました。
みんながみんなそうじゃありません。中には「ゲームをしていたのは小学生のときだけ」「ドラクエ3が復活すると聞いて数十年ぶりに戻ってきた」という復帰プレイヤーもいます。
そういう方がいきなり3D-CGのゲームで遊べるでしょうか。遊べる方もいるはずですが、遊べない方もいるはず。
「3Dで酔った……」ということになるんじゃないでしょうか。
「ファミコンと違ってボタンが多いから操作方法を覚えられない……」というのも最新のゲーム機だとありそうな話。
僕はファミコンから段階的にボタンを増やしてきましたが、いきなりSwitchやPS5などにワープしたら絶対戸惑います。
そして目の前にあるゲームが「ちょっと興味がある」程度だったら「ボタンいっぱいで操作を覚えられない……このゲーム、面白そうだけどやめておこう」となるかもしれません。
しかし、昔好きだったゲームのドラクエ3なら「遊びたいからどうにか覚えよう」とモチベーションを上げやすいはず。
ボタンいっぱいだけど昔に近い雰囲気のドラクエ3。
ボタンいっぱいで違う雰囲気のロマサガ2。
この違いは、引き込みたいお客さん(プレイヤー)に種類があるからじゃないでしょうか。
- ドラクエ3→久しぶりに戻ってきて全然慣れていないプレイヤー
- ロマサガ2→ある程度慣れているプレイヤー
- 他のいろいろなゲーム→ゲームを継続的にやってきたプレイヤー
こんな感じで別個に引き込む戦略がスクエニの方々にあると、僕は思います。
HD-2D版ドラクエ3は復帰プレイヤーをターゲットにしたゲーム。そう考えれば、強力な特技があったり楽ちんプレイを選べたりできることもうなずけます。
簡単なだけだとヘビーユーザーが納得しない、と導入されたのがクリア後のいろいろなものじゃないでしょうか。
それなら「ドラクエ3→ロマサガ2→他のゲーム」の順で発売したらいいんじゃないか……という気もしますが。
ちょうど2作品の近くに坂口さんのFANTASIANもありました。順番を変えれば「ドラクエ3で復帰」「そこそこ慣れたので次にロマサガ2」「かなり慣れたので次にFANTASIAN」と、段階を踏むように遊ぶ方も中にはいるのでは……
そこには別の思惑があったのかもしれません。単に発売のめどが立った順で出しただけかもしれません。
メーカーの方々はそんなこと考えていないかもしれません。HD-2D版として作ったのもその技術を使いたかっただけかもしれません。
とは言え、冒頭で書いた「ドラクエ3は賛否両論」ということの原因はこの「プレイヤーの性質の差」にありそうです。
- 久しぶりに戻ってきて全然慣れていないプレイヤー
- ある程度慣れているプレイヤー
- ゲームを継続的にやってきたプレイヤー
この段階が上であるほど「ドラクエ3はやっぱり楽しい!」と感じやすく、下であるほど「ドラクエ3は物足りない……」と感じやすいんじゃないでしょうか。
HD-2D版ドラクエ3が復帰プレイヤーをターゲットにしているのなら、久しぶりの方に「やっぱり楽しい!」と言われるのは計算どおり。慣れている方にとって物足りないのは当たり前です。
そして「楽しい」「物足りない」と賛否両論になったんじゃないでしょうか。
まとめ
ドラクエ8やドラクエ10(オンライン)みたいな3D-CGでドラクエ3をリメイクすることも、やろうと思えばできたに違いありません。
それでも以前と似たゲームとして作ったのは離れたプレイヤーを復帰させるため。取っつきやすいゲームとして示したかったからじゃないか……結果として賛否両論になってしまうのは仕方ないことだったのかもしれません。
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