- この記事に書いてあること
ポケモンショックと呼ばれる事件について。
ポリゴンは悪くない。
アニポケことポケモンのアニメ版は1997年4月1日に始まり、大人気の番組になりました。僕も結構最初の方から見ています。
しかしずっと順風満帆だったわけじゃありません。「ポケモンショック」と呼ばれる事件も起きました。
あの状況をナマで見た者として、ここにまとめておきます。
「ポリゴンショックじゃないの?」という意見もあるかもしれませんが、ここでは「ポケモンショック」として紹介します。そうする理由はこの記事を読めばわかります。
ある火曜夜のこと
アニポケ
アニポケ開始から8か月ほどたった12月16日、38話「でんのうせんしポリゴン」が放送されました。
その内容は……
- ある町でポケモン転送システムに異常発生。
- サトシたちがポリゴン初号機(←エヴァンゲリオンをパロディした名前?)と共に電脳空間へ行く。
- 悪さしているロケット団を止める。
- ワクチンソフト的なものがサトシたちとロケット団を襲う。
- ワクチンソフトがミサイルをぶっ放す。ピカチュウが電気技で迎撃、爆発させる。
- なんやかんやあって脱出して完。
- 次回は「ルージュラのクリスマス」。サトシ「みんなもプレゼント、ゲットだぜ!」
僕は「バトルする場所がいつもと違ったけど、大まかいつもどおりのポケモンだったな」くらいの感想だったんですが……
緊急ニュース!
放送されてからしばらくすると、こんな話がニュース速報で流されました。
ポケモンを見ていた子供たちが具合悪くなった!
画面がピカピカしたときそうなった、というところまで言っていたかもしれません。
当時の僕の感覚だとニュースはマジメなことを扱う存在で、アニメやゲームとは別世界。そこでポケモンの話をしていること自体が驚きでした。
翌日以降のこと
僕の周囲
朝になってもテレビではポケモンの話をしていて、このときにはもうどの瞬間に具合が悪くなったかまではっきり報道されていたはずです。画面がピカピカしたときにそうなった、と。
確かに、ピカチュウがミサイルを爆破したときやたらピカピカしていました。
学校でもこのことが話題に出ました。あのときの僕は大学生で、実習室でこんな話をしたと覚えています。
友人U「ポケモンのことで騒いでるけど、お前は見た? 具合悪くなった?」
僕「見たけど具合悪くはならなかった。目が疲れるとは感じたかも」
友人E「俺たちは子供と違ってじっと見たりしないんじゃない?」
↑今思うとE君も放送を見ていた可能性あり。僕と同じゲーム好きで、一時はゲームショップでバイトする仲間でもありました。
アニポケ中止
翌週以降、アニポケは「原因が判明して対策を打てるようになるまで放送自粛」ということになりました。
代わりに放送され始めたのは「学級王ヤマザキ」。
元はコロコロの漫画で、平日の朝やっている「おはスタ」の5分アニメとして放送されていました。通常アニメの1回分を5つに分割していたとか。それが本来の1回分にまとまり、代打になってくれたわけです。
アニポケ再開までのこと
世間での反応
テレビでは「ポケモンのせいで具合悪くなった!」とぶっ叩いていました。テレビってそういうものなんでしょう。
一方ポケモンファンは「このまま終了?」「これからどうなる?」と困惑の日々を送っていました。テレビ東京に「放送をやめないで」と電話した方もいたとか。
「ポケモンショック」という名前もいつの間にか生まれていました。最初に言い出したのは誰なのかもうわかりませんが。
頭のいい方々は、たくさんの人が具合悪くなった原因について調査をしていました。そして「パカパカ(画面を激しく点滅させる表現)はよくない」という結論にたどり着きました。
こういう表現は昔からあり、具合が悪くなる人も出ていたそうです。それがアニポケでいきなり問題になったのは視聴者数が多かったから。具合を悪くする確率が同じなら、視聴者の全体数が多ければ多いほど具合を悪くする人は多く出てしまいます。
僕はアニポケで具合が悪くなったりしませんでしたが、思い当たることが……
とあるゆうめいRPG2ではラスボスに攻撃すると画面がフラッシュします。小学生時代の僕はこれを見てクラッと来たことがありました。友人には「感情移入しすぎてるんじゃない?」なんて言われましたが、原因は同じだったのかもしれません。
同シリーズの4も同じ表現があったと思うんですが、こっちではどうともありませんでした。何年もたって体質が変わったから?
何にせよ、前から起きていた現象ということは「放置していなければ避けられた事件」だったわけです。
今から思うとそうなんですが、昔って今とは違ったんですよ。よく言えば「大らか」。悪く言えば「適当」。事件が起きた1997年は平成だと9年。あのころは昭和の続きみたいなところがあり、「何となくうまくいっていればいいんじゃない?」みたいな空気が残っていました。
アニポケ再開!
年も年度も明けた1998年4月16日、アニポケは再開されました。
春になったのでさすがに「ルージュラのクリマスス」ではなく、「ピカチュウのもり」。
ピカチュウいっぱいの森に着き、「うちのピカチュウもなじんでいるし置いていった方がいいんじゃない?」みたいなことをサトシが考えるけどピカチュウはついてくる……という内容です。
その数か月後にポケモンの映画(ミュウツーの逆襲)が公開され、四半世紀以上たった今もアニポケ放送が続いていて……というのは皆さんもご存じのとおりです。
その後のこと
アニメ全体のこと
今ではアニメを見ると最初に「テレビは部屋を明るくして離れて見よう!」みたいなテロップが出ます。これはアニポケの騒動がきっかけで始まりました。
テロップじゃなく、「放送が始まったところでキャラクター(たち)が注意事項として語る」みたいにするアニメもあります。
アニポケのこと
アニポケ自体は調子がいいんですが、あれからずっと出ていないポケモンがいます。
ポリゴンです。
画面がピカピカパカパカしたのはピカチュウがミサイルをぶっ飛ばしたとき。つまりポリゴンは全く関係ないんですが、「原因になったものは出さないようにしとこう」みたいな流れが制作側にあったんじゃないでしょうか。それでタイトルに使われたポリゴンがスケープゴートにされたと……
この騒動も「ポリゴンショック」「ポリゴン事件」と言われることがあります。
はっきり言って、ピカチュウもポリゴンも悪くありません。悪いのは表現方法です。
いつの日か、ポリゴンもアニポケに帰ってきてほしいです。
「何らかの配慮で出せない」じゃなくて「何となく出しにくくなった」じゃないかという気もします。
メーカーのこと
この事件の数年後、株式会社ポケモンは「ポケモンショックテトリス」というパズルゲームを出しました。よくその名前を使ったな……
「ポケモン・ショックテトリス」っていうタイトルじゃないんですか?
現在のポリゴン
アニポケ
相変わらず出番がありませんが、映画で進化形がチラッと出たりサンムーン編で校長先生の台詞に出てきたりはしています。
もうあれからすごい時間がたったんだし、そろそろ普通に出そうよアニポケスタッフさんたち……
ゲーム
アニポケでは出番がないですが、進化形はいろいろいます。
- ポリゴン2
アップグレードを持たせて通信交換すると進化。
実際のポリゴンがカクカクからツルツルへ進化したように、こっちもツルツル。
おまるっぽい。 - ポリゴンZ
あやしいパッチを持たせて通信交換すると進化。
頭が外れて上下逆転。足っぽかったところが腕っぽくなる。
人工的に作られたポケモンだからか、ポリゴン系とは基本的に野生で会えません。
ポケモンレジェンズアルセウスでは時空の歪みの中で登場します。
ポケモンSVの追加コンテンツではポリゴンがとうとう野生として登場! と思いましたが居場所は人工的に作られた環境。作った人たちが放流したんだと思います(ブルーベリー学園というところまで行けば会えます)。
ポリゴンはネット対戦でもかなり人気がある方。とは言っても最終進化形がではなく、一歩前のポリゴン2がです。
進化前のポケモンを強化するしんかのきせきが持ち物だと、耐久力が上がって強いんだとか。
終わりに これからのこと
ポリゴンはこれからどうなっていくんでしょうか。電脳的なポケモンとしてはロトムに役を譲ったような気もします。
しかしこれからいろいろあってもいいと思います。
ポケモンレジェンズZ-AやポケモンSVの次でいろいろなものと合体し、ポリゴン自転車とかポリゴンボートとかポリゴンメーヴェ(任天堂系ならポリゴンパラセール?)とかになってもいいんじゃないですかね。
それと、この記事を書くにあたってピクシブでポケモンショックやポリゴンのことを見ていると……畜生……不意討ちで泣かせやがって……
涙腺がゆるくなっていますね。
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