DRAGON QUEST ダイの大冒険

Dai-no-Daibouken 1980年代
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    オーソドックスな少年漫画。
    ドラクエらしさを持っている。
略称ダイ大
作者三条陸(原作) 稲田浩司(作画)
出版社集英社
開始日1989年(平成元年)5月

かつて、世界は魔王の軍勢によって支配されようとしていた。しかし勇者たちによって魔王が倒され、下僕とされていた魔物たちは邪悪な意思から解放された。

それから十数年の時がたった。魔物たちが平和に暮らすデルムリン島で、ダイは勇者になりたいと願いつつ日々を過ごしていた。ニセ勇者一行、レオナ姫とその命を狙う者たち――ときには事件も起きるが、ダイは乗り越えていく。

ある日、島の魔者たちが突然暴れ始めた。原因は魔王が復活したこと。困惑するダイの前に、勇者の家庭教師を名乗る男が現れた。

DQ1-0

本作はドラクエを元にした漫画。同じ時期にドラクエのアニメや他のドラクエ漫画も始まっています。アベルが主人公のドラクエアニメは同年12月開始。ドラクエ4コママンガ劇場は1990年の年度始め開始。ロトの紋章は1991年の年度末開始です。

最初、本作は読み切り漫画として始まりました。上に書いてあるのはそれが掲載されたときです。僕も週刊少年ジャンプで読みました。
調べてみると、掲載された号では……
ドラゴンボールで悟空がナッパを圧倒し、
ジョジョの奇妙な冒険第3部でタワーオブグレーが暴れ、
ザ・モモタロウで大会の決勝戦が始まりかけて中断。
他の漫画は聖闘士星矢ハーデス編、山下たろ~くん、ろくでなしブルースなど。いわゆるジャンプ黄金期です。

出だしに勇者VS魔王らしき絵がありますが、アバン先生VSハドラーには見えません。主人公のダイがイメージしたものじゃないでしょうか。
そういう突っ込みどころはともかく、モンスターがぞろぞろ出てくる内容だったので僕はとても喜んでいました。

何か月かして読み切り2作目。こっちはダイが謎の力を発揮したりして、連載への伏線が張られていました。

2作目の読み切りからまた数か月たって、とうとう連載が始まりました。このとき、世間では天空シリーズ1作目のドラクエ4が発売される直前。そしてスーパーファミコン発売の1か月前。僕は中学生でした。

僕はすごくハマりました。僕がハマるパターンには「キャラクターが気に入った」「物語が気に入った」「設定が気に入った」があるんですが、本作の場合は「物語」です。
連載はかなり長く続き、終わったときにはNINTENDO64が発売されていました。ドラクエも天空シリーズ最終作のドラクエ6が出てから1年くらいたっていました。僕も大学生です。

連載は7年くらい続きましたが、作中で過ぎた時間は3か月程度。スポーツ漫画だと一瞬がやたら長かったりするので、よくあることです。

ダイ

主人公。デルムリン島の浜に流れ着いてモンスターに育てられた少年。正確な誕生日がわからないので、春になると年が1つ増えます。
純粋無垢な性格で、「誰が真の勇者か」みたいな話をされても張り合ったりせずに「いっぱいいてもいいんじゃない?」みたいな返しをするくらい。自分の出生に悩むときもありますが、人間と普通に暮らすモンスターを見て気にしなくなります。弱点は字を読むのが苦手なこと。
いざとなると紋章が出て……という設定が、僕はすごく好きです。こんなのかっこいいに決まっています。
名前が死という意味のdieっぽいということで、翻訳されると他の名前に変えられることがあります。僕は小学生のころからの友達に大ちゃんっているんですけど、彼も海外ではそういうふうに見られるのか……PCエンジンやゾイドで一緒に遊んで楽しかったんですが。

ポップ

相棒ポジション。僕はドラゴンボールのクリリンみたいなイメージを持っています。主人公より勉強ができたり爆発して主人公に変化があったりするので。
自分だけ一般人だと悩む場面がありますが、難しい呪文のメドローアをあっさり習得したり大魔王の呪文をかき消したりする人は一般人じゃありません。真っ先に倒すべきだと主張したキルバーンは正しいです。
人間味にあふれたところを好かれるキャラで、連載中の人気投票ではかなり上位でした。必殺呪文のメドローアは好きな技・呪文ランキング1位に選ばれたことも。ダイは魔王軍と戦う物語の舞台装置みたいなもので、真の主人公はポップの方……なんて僕は思うときもあります。
それと、運のよさ最強キャラ。

アバン先生

初めて出てきたとき、怪しい人だと思いました(全然そんなことはありませんでしたが)。
あのころは学校や塾が嫌いだったので、先生という職業自体にいいイメージがなかったのかもしれません。漫画と現実は別。

マァム

姉弟子様。優しさと突っ込み担当。
「僧侶戦士」と名乗ったとき、「僧侶と戦士をくっつけた名前の職業を考えたのか。そのまんますぎる」と思いました。しかし実際にも僧兵とかいて、ファンタジーにも神官戦士というジョブがあると後で知りました。それをドラクエっぽく表現したのが僧侶戦士だったんだと思います。

ヒュンケル

連載時はあまり好きじゃありませんでした。かっこつけたいけ好かないやつにしか見えなかったせいです。「不慣れな長兄役ももう終わりだ」と言ったときは「そんなことしていたっけ?」と思いました。

しかし、いい年になってから読み返すとかっこよさがよくわかりました。お兄ちゃん役もしっかりやっています。ただ竜騎衆を倒すだけじゃなく、説得もして弟弟子の味方が増えるようにするところとか。鬼岩城の様子を見に行ったときは、「俺がしっかりしていなかったせいで弟分たちが危険な目に……」とかクロコダインを相手にぼやいていそう。
鎧の魔剣・魔槍も、聖闘士星矢的で少年なら絶対好きになる装備です。

メルル&エイミ

当時はただの横恋慕キャラとしか思っていませんでした。しかし大人になってから読み返すと、すごくかわいく見えてきました。好きな気持ちはあるけど恋敵に突っかかったりせず、健気にしているとは……ポップもヒュンケルもこっちに行こうぜ!

レオナ姫

ドラクエ4に同じ職業名の人がいます。ただし方向性は逆……と思いましたが、城から脱走するという共通点があります。そのとき使うのは蹴りじゃなく眠りの呪文。
ヒュンケルは仇なのに許して戦えと言えるのは、正に王の器という感じ。

クロコダイン

ワンピースにスナスナ海賊が出てきたとき、「クロコダインみたいな名前のキャラが出てきたな」と思いました。
インターネット上ではやられ役扱いされていることもありますが、おっさんは盾役でやられることも仕事なんだと思います。おっさんがいなかったら全滅していた、という場面もありますし。

ブラスじいちゃん

ダイの保護者。1回目の読み切りで魔法の筒をダイへ渡すときに「これは魔王からゆだねられたもの」とかなんとか言うんですが……おじいちゃん、魔王と知り合いなんて大げさですなぁ! 若いころの武勇伝として、盛りに盛った話をしたくなっちゃうタイプですかい?

と、僕は思っていたんですが……

ゴメちゃん

謎の力を初めて見せるのはかなり序盤。あの設定は後付けじゃなく、最初のうちからある程度考えられていたに違いありません。

チウ

ドラクエ4コママンガ劇場の怪傑大ねずみがモデルになっているとか。
モンスターたちを獣王遊撃隊の隊員にしていくところが好きです。エンディング後はデルムリン島で隊員を増やしていそう。

バラン

当時は「ものすごく手強い敵だ……」と普通に思っていました。
しかし大人になってからインターネットを見ると「この人がお姫様相手にアレなことをしたから騒動になったんじゃない?」などと書かれていて、そういう見方もあるかなと思いました。

もう1つ、当時から思っていたことがあります。同じ名前の怪獣がいることです。見た目はゴジラ+ムササビ。
お弁当に入れる緑の仕切りもバランだと知ったのはずっと後になってから。

ニセ勇者一行

最初は強敵(ダイのレベルが低かったので)。その後はドロンボー一味のような憎めない悪役。
そして最後は「ニセ者だけどなぁっ!」で泣かせる役。

まぞっほ(魔法使い)はポップを説教しているときにいきなり鼻毛を抜き始めます。当時の僕は「じいちゃん何やってんの」くらいにしか思っていませんでしたが、何十年もたってから「話しているうちに自分が泣けてきた」「だから『鼻毛抜いたら涙出ちゃった』とごまかしている」という表現だと聞いて驚きました。

ハドラー

デルムリン島で戦っていたとき、悪魔くんみたいな髪型だということばかり気になっていました。変わってくれてよかったです。

僕にはそんな目で見られていましたが、「虚栄心を捨てて戦う」「しかし体内にやばいものを入れられている」「命が尽きかけながらも戦う」「最後は味方してくれる」とかっこいい展開山盛りです。

ザボエラ

卑怯な手を使おうとしてやられたときにクロコダインが「俺とて1番手で戦っていなかったらどう歪んでいたかわからん」と言っていましたが、あれは書いている側の言葉でもあったんじゃないでしょうか。
作者さんたちが「1番手は仲間になってくれる」「卑怯に立ち回って最後の方まで生き残る幹部がいる」みたいなイメージを元々持っていて、「1番手→ザボエラ」「最後の方→おっさん」という展開にしていたら、きれいなザボエラと卑怯なおっさんになっていたかも……

ミストバーン

出てきたとき、初登場時のヘル・ミッショネルズ(ネプチューンマンと武道)みたいなキャラだと思いました。

フレイザード

「俺は戦うのが好きなんじゃねえんだ……勝つのが好きなんだよ!」の台詞が好きです。だから僕もゲームの難易度を下げることにためらいがありません。

バーン様

今どきは器用な方がいて、バーン様が光魔の杖を持って「これが余の武器……その名も〝光魔の杖〟だ」と言っている場面をコラージュしています。その画像だと武器が消えていて、台詞の後半が「その名もどんなときでもポジティブハート」。
そりゃあ、何千年もかけて計画を進めるなんて心の強さがないといかんでしょうなぁ。

本作にはドラクエのモンスターが出てきます。基本的にはドラクエ1~3のモンスターたち。ドラクエ4以降が初登場のモンスターは魔界出身ということになっています。

ドラクエと同じ呪文も出てきます。その一方で、本作オリジナルの呪文も出てきます。
少年漫画らしく必殺技の要素もあります。ボスキャラの技が「獣王痛恨撃」だったりするので、痛恨の一撃など強烈な攻撃を漫画的に表現したことが元だったのかもしれません。
本作の呪文や必殺技にはドラクエに逆輸入されたものもあります。例えばギガブレイクはドラクエ8~11などで主人公たちが使う剣技として登場。メドローアもドラクエ10や11で使えます。

連載開始から2年くらいたったとき、本作はアニメ化されました。僕はすごく喜んで、毎回しっかり見ていました。オープニングテーマはかっこよく、エンディングテーマは好きだったドラクエ2が元。この曲の歌詞付きは以前からありましたが、僕は本作のアニメで初めて聞きました。
しかし、1年くらいたったところでいきなり打ち切り……テレビ局の都合だったとか。

それから28年もたって、またアニメ化されました。今度は読み切り編からラストバトルまでです。
元のアニメが終わったときは残念でしたが、あのまま続けていても原作に追いついて引き延ばしの連続だったはず。「ピラァ・オブ・バーンの爆発まであと×分!」がいつまでも続くとか。

途中で魔法剣が出てきて、FF5でも同じ名前のアビリティが登場し、「これはドラクエ漫画じゃなくてFF漫画じゃない?」なんて気がしてきました。しかし、本作は間違いなくドラクエの漫画です。

僕は、ドラクエらしさを「主人公がすごい血筋」「主人公が正義の味方で悪党を倒す」「悪党を倒すと平和が戻って感謝してもらえる」だと思っています。そして本作もまたこれらの要素を持っています。

作者さんたちには続編の考えがあったそうです。それだとダイが新竜騎衆を引き連れて行動するとか……それはそれで見てみたいです。

かなり手加減して書きました。アニメのことにはあまり触れていませんし。それでも結構長くなったような……
それはさておき、僕は中高生のときと就職後では本作の感想がいろいろ違っています。本作に限らない現象なので、昔懐かしい漫画を久しぶりに読んでみるのも面白いと思います。

僕の場合だと、かっこ悪いと思っていたキャラがかっこよく見えてくることもあります。

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