- この記事に書いてあること
RTA(早解きの1つ)のいろいろな話。
RTAって何?
リアルタイムアタックの略。
この「タイムアタック」という言葉は和製英語(オートバイやクレーンゲームみたいな言葉)で、要するに早解き。あっちでは「スピードラン」と言うそうです。
頭に「リアル」と付いているのは何なのか。これは「ゲーム内の時間」じゃなく「現実(リアル)の時間」で計測することから来ています。つまり「トイレに行った」「寝た」「構ってほしがるペットをなでに行った」とかの時間も計算に入ります。
完璧な記録を狙うためには体調のコントロールや家族(ペット)の理解も必要になるんでしょう。
RTAをする方々は自分たちを「走者」と呼びます。マラソンなどのランナーに例えているみたいです。
ルール
走者は記録を出すわけで、走者間には「どっちが速かったか」という話が生まれます。
そうなると、記録を作るにあたってのルールが必要になります。
まず、「裏技はありか」「バグ技はありか」。バグなんてたまたま起きるものだと昔の僕は思っていましたが、一定の条件で必ず起きる場合もあります。こういうものは「仕様」と考えられます。
Switchのゲームだと「amiiboを使っていいか」なんてのもあります。言い方を変えると「周辺機器を使っていいか」だと思います。
連射コントローラーはどうなんだろう……「押しすぎてむしろ不利になる(NPCの会話が長くなる選択肢を選んでしまうとか)」という場合もあるので、使えば必ずプラスになるわけじゃなさそうです。
「どこまでやってクリアするか」というのもあります。
ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドだと、「ガノンだけ倒してクリア」「カースガノンも全部倒してクリア」とか。「コログや遺跡を全部見つけてクリア」なんてのも……やるのはすごく大変そうです。
実際のRTAプレイ(ドラクエ3の場合)
例えば普通の方がドラクエ3の序盤をノーヒント・知識なしで進めると……
- アリアハンで仲間をそろえたりアイテムを買ったりして旅立ち準備。情報収集もする。
- アリアハンから出発。レベル上げしてからレーベに移動。
- レーベで情報収集。
- レーベの南から洞窟に入る。
という流れになると思います。
しかしRTA走者は違います。
- アリアハンで仲間をそろえる。買い物と情報収集はなし。
- アリアハンからレーベに移動。レベル上げはなし。
- レーベで買い物。情報収集はなし。
- レーベの南から洞窟に入る。
買い物をレーベでするのは、多分町・村の出入り口から店までの距離がアリアハンより短いからです。
情報収集=会話はイベント発生のフラグでもないかぎりカットしていい部分と判断されます。
レベル上げも効率のいいメタル狩りで済ませます。
こんな感じで削れる部分をどんどん削り、1分1秒でも短いクリア時間を目指します。
発信方法
僕が学生のころだと、自分の早解きプレイを録画してゲーム雑誌に送る方がいました。ファミ通でそういうプレイのイベントをやっていたこともあったはず。
今はインターネットの時代。RTAをする方はYouTubeなどのサイトに動画を送ります。
「RTA」「Speedrun」「タイムアタック」などの言葉をゲームタイトルとセットにして検索すると恐るべき記録が次々に出てきます。
記録(ブレスオブザワイルドの場合)
「ブレスオブザワイルド Speedrun」で検索すると、いろいろな記録が……ガノンをまっすぐ倒しに行って20分台とか。もっと短いのもあります。
「ブレスオブザワイルド 100% Speedrun」で出てくるのは祠もコログも全部見つけて地名も全部埋めてもちろんガノンたちも全員倒して……と100%クリアするルールのようです。十数時間という記録もすごいですが、やろうとする意欲そのものがすごいです。
なお、ゼルダの伝説BotWをクリアするまでにかかるのは100時間くらいです。
いろいろな要素をスルーすればもっと短くなりますが、たっぷり楽しもうとすればもっと長くなります。
僕は早解きというものがそもそも苦手なので、基本的に自分でやることはないです。
しかし気が向いてブレスオブザワイルドで「マスターソード早抜き」をやったことがあります。
ハートを集めなくてもマスターソードを抜ける裏技があるので、それを使えば最初のハート数でもマスターソード持ちになれます。
最初の問題ははじまりの台地を下りるまで。次の問題ははじまりの台地を下りてマスターソードのありかへ行くまで。
うまい方なら壁抜けでショートカットできます。主人公を吹き飛ばすような方法で高速移動することもできます。僕はやり方を知らないので単に駆け足で進み、ときどき構ってほしがるペットの相手をして、2時間くらいで終わりました。
なお、RTA走者はゲーム開始から15分くらいでハイラル城突入するのでマスターソード早抜きも20分弱で終わると思います。
RTAの広がり
RTA ㏌ Japan
大勢の走者が集まってRTAをするイベント。配信される動画で内容を見ることができます。
調べてみると8月によく行われているので、今年もそろそろのはず。
扱われるゲームは有名なものだったり、マイナーなものだったり。
RTA走者はゲーム世界から帰れない
RTA走者が主人公の漫画。
これを読むと、RTA走者(あるいはRTA動画)がどういうものなのかかなりわかります。RTA走者がゲーム世界内の人々からどう見られているのかもわかります。RTA走者が操作する主人公は急ぐあまりに変な動きをすることもあり……
最初の方は無料で読めるので、検索してみてください。
ワンピース
集英社の海賊漫画。
主人公ルフィの旅は「海賊王RTA」と呼ばれることがあります。
作中の一般海賊たちはグランドラインの最後にある島まで行って
- こことは違う最後の島=ラフテルがある。
- ラフテルのありかについてのヒントはどこかの石碑に古代文字で書かれている。
- つまり、石碑を探して古代文字を解読しないとラフテルにたどり着けない。
と、知ることになります。そして冒険をやり直すことに……
しかしルフィはラフテルのことをとっくに聞かされていて、石碑の写しも旅先で次々に入手。古代文字を解読できる人員も仲間にしています。
これはかなりのショートカット。まさに「海賊王RTAの走者」です。
ご都合主義ではなく娯楽品として当然のことだと思います。最後の島(偽)まで行って「んじゃ今から石碑と解読法を探すか!」なんてテンポが悪いです。それをどうにかこうにかやり遂げたのが海賊王ロジャーだったということ。
終わりに
上にも少し書いたとおり、僕は自分ですごい記録を出そうなんて考えもしません。しかしYouTubeなどの動画サイトではRTAを見ることがあります。
「自分では野球をしない」「でも、野球中継を見るのは好き」という方は大勢います。僕もそれと同じです。
そういうわけで、これからもいろいろな記録が出ることに驚かされていきたいところです。
おまけ RTA動画によく出てくる言葉
- グリッチ
バグ。壁抜けしたり高速移動したり。タイム短縮に使う。 - Any%
この場合の%は「ゲームの達成率」のこと。それがAny(どれでも)なので、「達成率はいくらでもいいのでクリアすればよし」という意味。 - ガバ
「ガバガバ」の略。失敗のこと。 - チャート
ルートや道筋、手順のこと。RTA走者はこれをプレイルートの予定表として作る。上のドラクエ3の例えだと「アリアハンで仲間を作る」「アリアハンから出発」「レーベで買い物」みたいな感じ。 - デスルーラ
わざとやられてリスポーン地点に戻されること。移動時間の短縮になる。 - ホットプレート
ファミコン本体をこれで温めるとドラクエ3のRTAでいい記録が出るんだそうな……これも周辺機器? - 完走した感想
ゲーム終了時によく言われるダジャレ。
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