【FFTリメイク】80時間クリア後レビュー ~昔からの面白さと新しい楽しさ~

FFTIC-Clear-Review 2020年代
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  • FFタクティクスイヴァリースクロニクルズのいいところ
    以前からあった面白さ(育成やとがった物語)はそのまま。
    遊びやすく調整されている。
    声優さんたちの演技がすごい。

この記事にはネタバレがいろいろあります。

FFタクティクスイヴァリースクロニクルズをクリアしました。いいゲーム、いいリメイクだった……
今回は僕なりの感想を書いていきます。

イヴァリースクロニクルズが発表される前、僕は「昔と比べて変化がなさすぎるんじゃない?」と言われそうだと思っていました。

発売前はそういう意見がありました。しかし発売されてみると、そういう声は薄れてきました。
僕自身も「前やったことをまたやるのか……」なんて思わず、熱中してプレイし続けました。

どうしてなんだろうと思いましたが、FFTってゲームとして見て単純に面白いんですよ。

若いころもいい年になってからも同じ趣味をしている、という方がいるじゃないですか。
釣りやキャンプなら「前と違う場所だから変化があるし」となりますが、ボーリング辺りだとどうでしょうか。ボーリング場を変えたとしてもルールが大きく変わったりするわけじゃないし、同じことを繰り返しているだけじゃないでしょうか(ボーリングをする方に言わせれば「全然違うわ!」となるのかもしれませんが)。
あまり変わらなくても続けられるのはボーリング自体が面白いからだと思います。

FFTにもそういった「ゲームとしての面白さ」があります。イヴァリースクロニクルズにもしっかり残されていて、強化された部分もあります。
だからこそイヴァリースクロニクルズは「また同じことを……」なんて言われないんじゃないでしょうか。

当時はどんな時代だったっけ?

過去の空気を少しでも思い出すために、あのころのことを少し書いておきます。

元のFFTが発売されたのは1997年6月20日。
数か月前にFF7が出て、翌月にはサガフロンティアも出ました。

世間ではアニポケやワンピース(原作)が始まり、映画ではもののけ姫やエヴァンゲリオン(「気持ち悪い」の方)が公開されました。
消費税が3%から5%になったのもこの年。

キャラ育成の面白さ

戦っているとジョブのレベルが上がり、新しいジョブを使えるようになります。この育成要素がFFTのキモじゃないでしょうか。

ジョブが増えることは「主人公たちのパワーアップ要素」のようにも見え、次々に新しいジョブを試したくなります
アビリティもいろいろ習得でき、「このジョブにあのアビリティを付けたらどうだろう」とかやってみたくなります。

以前はジョブが円を描くように並んでいて、だんだん増えていく仕組みでした。
イヴァリースクロニクルズではジョブの系統図が表示され、「レベルいくつで解禁」とわかりやすくなっています。このお陰で目標を認識しやすくなりました。どこまで行けばチェックポイントやゴールなのかわからないまま走り続けるのはきついですよ……

とがった物語

善側と悪側がはっきりしている物語はすごくわかりやすいです。
僕は子供のころから大好きで、昔懐かしいアニメの挿入歌「進め! タイムパトロール隊」とか今もしょっちゅう聞いています。

FFTの物語は正義と悪の境界線が曖昧です。プレイヤーから見れば「暗躍している連中が悪いに決まっている」とわかりますが、作品内で生きている主人公たちからすると違います。

物語(1章部分)が始まったとき、主人公のラムザは貴族のボンボンとしてのんびりやっています。お兄ちゃんたちに従っていれば問題ないんじゃないのという雰囲気です。
しかし作中世界では「敗戦のせいで治安が悪くなっていて……」「王の権力が弱っていて下剋上を企む者が現れ……」と、ゴタゴタやっています。
「身内もヤバいことを……」なんて事件もラムザの目前で起き、彼自身の善悪と言うかのんびりした常識をぶっ壊します。

出奔したラムザはやがて彼なりの正しさを見つけ、以前までは善だと信じて疑わなかったものと争えるようになります。世界全体を脅かすほどの存在とも戦い始め……

こんな善悪の揺らぎと主人公の成長はイヴァリースクロニクルズでもしっかり描写されています。
よりわかりやすくしてくれたのは次の項目のものです。

声優さんたちの熱演

以前の記事にも書いたことがありますが、僕はゲームに声があってもなくてもどっちでもいいと思っているタイプです。ファミコン世代なので「ゲームはしゃべらないのが普通」という感覚なのかもしれません。

むしろ声なしの方がゲーム作りしやすいんじゃないかとすら思っています。
アップデートで台詞を変えようとしても、ボイス付きだったら「変えたら文と声が食い違ってしまう……」なんてことになります。声優さんを呼んでしゃべり直してもらえばいい? 人件費が発生し、ゲームの値段アップの原因が増えます。

そんな調子なので、イヴァリースクロニクルズに声が付くと聞いても「今どきのゲームだしねぇ」くらいにしか思っていませんでした。
しかし実際に声を聞いて考えを改めることとなりました。目からはうろこを落とせばいいですが、耳からは何を落とせばいいんですか。耳毛でいいですかね。

序盤のラムザは世間知らずで頼りなさそう。貴族じゃないディリータの方が頼れそう。そんな彼らを声優さんが演技でしっかり表現しています。
そこに現れるのがアルガス。声優さんはアルガスの憎たらしさ(そして内に秘めていた葛藤)をこれでもかと言うほど見せつけてきます。
ラムザもずっと頼りなさそうな人物じゃありません。だんだん成長し、終盤には「これは間違いなく主人公!」という雰囲気に……こういう変化も声優さんが表現しています。

他のキャラクターも声が付いていて、「どんな人物なのか」「どんな感情で行動していたのか」がわかりやすくなっています。

思いがけない側面に気づく場合も……

労働八号とか、前は「クラウドを仲間にする過程で加入するロボ」「面白いのはムスタディオをやっつけるところくらい」なんてキャラだったと思います。仲間枠を空けるために除名されたことも多かったはず。
一方、今回の労働八号はめっちゃかわいい声です。これじゃ除名できない……仲間枠も増えたことですし。

ラファも「Braveが低いのでアイテム探し役向き」という利点があるものの全体的に見ると弱いユニットで、兄共々除名されることがよくありました。
しかしイヴァリースクロニクルズでは「声がかわいい」をよく聞きます。除名される確率も減っているんじゃないでしょうか。

ラファは後衛キャラに向いていますが、登場するころには汎用ユニットがその枠をしっかり埋めてしまっているので……

戦闘中に会話

元々、FFTの仲間たちには「加入するといきなり無口になる」という特徴がありました。

イヴァリースクロニクルズでは「加入させる」「戦闘に参加させる」とすれば特定の場面で仲間たちがしゃべってくれます。お陰でキャラクターたちがどういう人物なのかわかりやすくなりました。

この恩恵が特に強いのはムスタディオ。前半から仲間になるだけあって、相棒感が出ています。
アルマも以前は「ラムザは心配しているけどどういう子かわかりにくい」なんて思われることがあったかもしれません。今回は数少ない登場ステージに会話が付け足され、理解しやすくなりました。

イヴァリースクロニクルズは劇?

劇場鑑賞中

FFTをクリアすると、「今まで見ていたものはオーランとその子孫が書いた本の内容だった」とわかります。

以前にどこかで「PS1版は元の本」「ルッソたちがいるPSP版は新説本」「演技がすごいイヴァリースクロニクルズはオーランたちの本を元にした演劇」という感想を見たことがあります。たしかにそんな感じです。

オーランが書いた本は禁書扱いされていました。それが演劇になったんだとすると、異端者と呼ばれたラムザも先々の時代では認めらるのかもしれません。

イヴァリースクロニクルズには遊びやすくするための調整がいくつも行われています。

最もありがたいと思ったのは仲間の枠増加。以前の3倍以上に増え、仲間枠は50です。

戦士斡旋所で汎用ユニットを雇うときも、以前は1人1人見ていかねばなりませんでした。今回は15人まとめて見ることができます。

難易度を変えられるのは今どきのゲームっぽい調整だと思いました。

しょっちゅうオートセーブされる(メインのセーブとは別で複数枠ある)のも便利です。

JPも以前より稼ぎやすくなったような。上にも書いたとおり本作は元々育成が楽しいゲームなので、JPを多くもらえた分だけ余計に育成できて面白くなります。
僕がアビリティの取得JPアップをずっと付けていたせい? それだけじゃないような気がします。

戦闘面では召喚士がかなり使いやすくなりました。前は召喚魔法の詠唱が長すぎていましたが、今回はほどほど。召喚はFFらしさの1つだと思うので強い方がいいです。

戦闘中に倍速できるのも便利。リセットを繰り返すようなところだと特にこの部分が役立ちます。

算術やオルランドゥなどのぶっ壊れ要素はそのまま、というのもありがたかったです。算術は少し弱くなった? あれでもかなり強いですよ。
強いならナーフ、というのが今どきの風潮かも。しかし算術やオルランドゥのハチャメチャっぷりはFFTの面白いところだったと思います。壊してしまうのはもったいないです。

ここまで書いたのはエンハンスドという調整されたモードでのこと。
「元のままのFFTがよかったのに……」という方はPS1版をほぼ再現したクラシックで遊べばいいです。

こういうことも少しくらい書いておいた方が信用性アップになるらしいです。

TwitterことXを眺めていると、「PSP版(獅子戦争)の要素がない」という意見をよく見かけます。
そこは僕も残念。ジョブとか仲間とか多ければ多いほどいいですし。

「新しいジョブがない」というのもよく聞く話。PSP版要素の有無とも関係しています。
ガフガリオン的なジョブはあった方がよかったかも。

僕としては「戦闘画面の向きが固定された角度にしか変えられない」を言いたいです。
自由な角度に向けたいんですよ……ときどきユニットや風景が見えなくて困ります。例えばネルベスカ神殿の奥側とか。あれはわざと見えにくくしているのかもしれませんが。

それと汎用ユニットの詠唱を聞きたかったです。
詠唱はアグリアスやムスタディオなど固有ユニットだけの様子。汎用ユニットばかりで戦っていた僕は詠唱をなかなか聞けませんでした。

イヴァリースクロニクルズのメイン客層はどう考えてもPS1版で楽しんだタイプ。しかしそれだけなんでしょうか。

「昔の名作は今遊んでも名作」ということはあります。スーパーマリオブラザーズを今の小学生にさせたら喜ばれた、みたいなことです。
しかし今の感覚だと「中断したら最初から」というのは合わせにくいです。しかしバーチャルコンソールやニンテンドークラシック(NintendoSwitchOnlineで付いてくるソフト)のスーパーマリオなら中断セーブできるので大丈夫です。

イヴァリースクロニクルズも同じ。前のままのFFTだと中断セーブがないので大変ですが、今回はオートセーブがあったり(上に書いたクラシックでもOK)して遊びやすいです。

そういうわけで、イヴァリースクロニクルズは現代に合わせた姿で蘇ったレトロゲームとして新しいプレイヤーの方々にもおすすめできます。

イヴァリースクロニクルズはかなりいいリメイク作品だったんじゃないでしょうか。僕はかなり熱中して遊びました。

クリアまでにかかった時間は80時間くらい。これ自体は普通のことですが、終わったのは発売から3週間ちょっとたったところ。1日3時間ちょっとずつやった計算になります。

僕はゲームを何時間もじっと続けるのが難しい状態(いい年になると集中力が途切れやすいので)。しかし本作は別だったようです。

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まとめ

当ブログのFFTIC関係で特によく読まれている記事です。
よろしければご覧ください。

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