- この記事に書いてあること
スクウェアのゲームで「悪女」と呼ばれたキャラたちのこと。
いくつかのゲームについてのネタバレがあります。
どの作品もゲームとして見ると名作です。
「スクウェア三大悪女」というものがあります。
「スクウェア」はスクウェア・エニックスの元になったメーカーの片方のこと。面白いゲームを連発していましたが、たくさん出すと嫌われるキャラも出てしまいます。
メンバー
1人目は「この人はフォロー不可能だろ……」というレベル。
2人目は「アレなところもあるけど同情する点もあるかな」くらいのレベル。
3人目は「数合わせに入れられただけじゃない?」と思えるレベル。誰なのか定まってすらいません。
1人目 ヨヨ(バハムートラグーン)
ゲームを始めたとき、主人公のビュウと王女様のヨヨに名前を付けられます。最初の方はこの2人が仲よくしているシーンばかりなので、プレイヤーは「こいつらいい仲なんだな」と考えていくはず。そして序章でヨヨが敵国に誘拐されてしまい、「早く助けないと!」という気分になります。
しかし、実際に助けてみるとヨヨは微妙な雰囲気。敵国の幹部といい仲になっていたからです。
特にプレイヤーをあおったのはドラゴンの話。主人公の愛竜サラマンダーに乗って喜ぶ場面があるんですが、その後で幹部のドラゴンに乗って「サラマンダーよりずっとはやい!」とかわざわざ言います。
主人公と行った教会へ幹部と一緒に行って愛を誓い合う場面もあります。なお、主人公はそれをしっかり見ています。こっそり見ているとかじゃなく、ヨヨも幹部も見られていることを自覚しています。
幹部は物語が進むと仲間になり、主人公やヨヨと行動を共にし始めます。そしてヨヨと幹部はしょっちゅういちゃつくようになります。
個人的に最もどうかと思ったのはラストバトル。ヨヨは「自分が嫌われていることはわかっている」とか言いつつ主人公を頼ってきます。そういうのって「嫌われているけど勘弁してよね?」ということじゃないですかね。
フォロー「心変わりするとか、実際によくあることじゃない?」
これは僕がかつて言われたことです。
それはそうなんですが、バハムートラグーンはゲーム。そして最初の雰囲気を見たプレイヤーは「主人公とヒロインが仲よくする」という展開を期待するのでは。ヨヨはそれを大きく外してきます。
例えば「カレーハウスなんとか」みたいな店があったら、お客さんはカレーを期待して入るはず。しかし店内で「うちは素うどんしかないよ」と言われたらがっかり。うどんもおいしいですが、お客さんの期待していたものとは違います。
この「カレーハウスなんとか」ががっかりされた理由は「カレーハウスはカレーを出す」というテンプレートを外したから。ヨヨも同じで、がっかりされた理由は「主人公と仲よくする」というテンプレートを外したからです。
心変わりとか現実ではよくあることかもしれません。しかしゲームはゲームです。捨てていい「当たり前」と捨てたらまずい「当たり前」があるはず。
2人目 アリシア(ライブ・ア・ライブ)
ライブ・ア・ライブはオムニバス形式のゲーム。アリシア王女は中世編に登場します。
武闘大会の優勝者はアリシアに求婚してよし! ということで優勝した主人公オルステッドはアリシアと仲よくし始めます。アリシアも主人公にいい印象を持っている様子。しかしアリシアはいきなり魔王に誘拐されてしまいます。主人公は大会で2位だったライバルのストレイボウと協力して助けに行きます。
助けに行ったもののアリシアは見つからず、ライバルは生死不明に……と思ったら生きていました。
ライバルは友情キャラのような顔をして心の中ではいつも主人公に勝てないことをいら立っていました。そして主人公の足をすくうために行動開始。主人公が王様をズンバラリンするように仕向けたりします。
企みに気づいた主人公はライバルを倒します。そこにアリシア登場。彼女はライバルに助け出されていました。それはよろしいのですが、ライバルといい仲に……しかも「どうして来てくれなかったの? この人は来てくれたのに」「ずっと勝てなかったこの人の苦しみがわかるの?」とか言いつつライバルの後を追います。何と言うか、彼女は極端から極端に走るタイプ。
そして主人公は悪堕ちして新しい魔王になります。
フォロー1「アリシアはだまされていただけじゃない?」
これは僕がかつて友人に出した言葉です。
友人は「あっさりだまされたのが駄目」と答えました。それはそうかも……アリシアは主人公が助けに来なかった理由なんか全然考えていなさそうです。
「捕まっていた状況で冷静な判断なんかできるわけない(だからだまされても仕方ない)」という反論もあるかと。しかしそこには「王族なら冷静さを保つべきじゃない?」という意見が……お姫様だから常に冷静でいろってのは無茶な話だろうか……でも、ワンピースで子供時代のビビがワポルにぶっ叩かれても大人しくしていた場面はかっこいいし……
フォロー2「外的に影響を与えたものがあるんじゃない?」
ライバルが後ろ暗い行動を始めたり主人公が悪墜ちしたりする場所は魔王山。暗い意識を強める呪いのようなものがあるのでは……
アリシアも影響を受けてブチ切れるあまりに自分をざっくりやってしまったんじゃないでしょうか。
3人目その1 ミレイユ(魔界塔士Sa・Ga)
悪党に対抗するレジスタンスのメンバー。
悪党にさらわれた、と見せかけて実はレジスタンスを裏切っています。「強いものが好きなだけ」と彼女自身は主人公に語ります。
用済みだと悪党に切り捨てられますが、そこに割り込んだのは姉。身代わりになった姉は……ミレイユは姉の行動を見て悔い改めます。
フォロー「反省しとるじゃん……」
全くそうだと思います。
もちろん仲間を裏切るのは駄目なことですが、彼女は反省するところまで含めて作られたキャラじゃないでしょうか。
3人目その2 リノア(FF8)
レジスタンスのメンバー。クールキャラの主人公スコールと仲よくするべくいろいろ動きます。レジスタンスなのにゆるい言動なのはおかしい、という話もあります。
発売当時、リノアを煙たがるプレイヤーはいました。「自分のFF8はリノアが宇宙に飛んでいって終わった(そこでやめたということ)」みたいなことを言うプレイヤーを僕は見たことがあります。
フォロー「悪女と言われるようなことかね?」
鬱陶しいかもしれませんが、「クールキャラの横でちょろちょろする子」なんて創作ではわりとありそうな気がします。
クールキャラは「ちょろちょろするキャラに不愛想な態度を取る」「好意に気づかない」という反応をすることで個性を強調できます。そういう意味で言えばちょろちょろする子は引き立て役。
個人的には、どうしてリノアがこの枠に入っているのかわかりません。
どうしてこういうキャラクターが生まれるのか
「何とか三大悪女」には「ガンダム三大悪女」もあります。こっちのメンバーはこんな感じ。
- カテジナ・ルース(機動戦士Vガンダム)
主人公の友達。すったもんだあって敵組織に加わり、お姉ちゃん捨て駒作戦とかする。 - ニナ・パープルトン(機動戦士ガンダム0083)
主人公といい仲になりつつあったが、いきなり元カレに乗り換える。エンディングでは何事もなかったかのごとく主人公と会う。 - 不定
逆襲のシャアのクェス(主人公側にいたが敵側へ回る)など。
確定メンバーの2人は敵組織に入ったり元カレに乗り換えたり。裏切り要素があります。
そしてスクウェア三大悪女も4人中3人に裏切り要素があります。
創作には「最初は敵だったけどだんだん味方になる」という展開がよくあります。こっちも敵側から見れば「裏切り」ですが、嫌がられることはありません。むしろ「熱い展開」と言われます。
つまり、
「こっちからあっちへ」は嫌がられて
「あっちからこっちへ」は好かれる
ということのようです。
スクウェアのRPGもガンダムもたくさんの作品があるシリーズです。作る側は「前と違うのを作らないといけない……」と考え、作品が増えるにつれてネタが消費されていき、「敵が味方になる展開は熱い」「じゃあ逆にして味方が敵に回る話だ!」と思いついてしまうのかもしれません。
僕から見ると、カテジナさんは無茶苦茶なことをするのが面白いのでわりと好きなキャラです。
終わりに
ああだこうだ書きましたが、どの作品もゲームとして考えると名作です。バハムートラグーンなんて、リメイクを望まれているゲームの1つじゃないでしょうか。
僕が好きなアニメにこんな台詞があります。
「オチのない人間なんていない!」
※この場での「オチ」は「駄目なところ」「残念なところ」などを指しています。
上の場面は感動的なシーンでも何でもないんですが、まさにそのとおり。
ゲームも「駄目なところが1つもない」なんてありえないんじゃないでしょうか。
こういう要素もネタ的なものとして楽しむのがいいと思います。
僕はバハムートラグーンの2周目でヨヨを変な名前にして遊びました。
コメント