- イヴァリースクロニクルズのいいところ
声優さんの名演技によってキャラクター性が前よりつかみやすくなった。
物語も戦闘もサクサク進む。戦闘中の倍速機能が便利。
クラシックのお陰で「思い出のゲームを現行機で」という需要を満たす。
略称 | FFT FFT-TIC イヴァクロ |
機種 | NintendoSwitch NintendoSwitch2 PS4 PS5 XboxSeriesX/S PC(Steam) |
メーカー | スクウェア・エニックス |
発売日 | 2025年(令和7年)9月30日 |
FFタクティクスイヴァリースクロニクルズが発売されてからしばらくたちました。
僕はクリアまでにまだかかりそうですが、かなり楽しんでいるので早めにレビューを書いてしまおうと思います。
発売前のこと
発売される前からいろいろ起きていました。
文章に「――」が多い?
発売を間近に控えたころ、「FFTの文章がファブルっぽい」という話が流れてきました。TGS(東京ゲームショウ)で本作を見た方からの感想だったんでしょうか。
- 週刊ヤングマガジンで連載されている「ザ・ファブル」のこと。
- 凄腕の殺し屋が主人公のシリアスな漫画。
しかし「シリアスな笑い」を作っている部分もある。 - 作中での「ファブル」は主人公の二つ名。
- 主人公たちは上司の指示で一般人として暮らそうとしたりもめ事に巻き込まれたりする。
- 今どきの漫画だからか無料で公開されている部分もある。
この漫画、台詞に「――」が多いです。僕が「このゲームおすすめ」と書くとしたら、作者さんは「このゲーム――おすすめ――」と書いて渋さを出すかもしれません。
世間では「ファブル構文」と呼ばれています。
「―」の名は罫線。伸ばし棒(長音記号。ファンタジーの『ー』)じゃないです。
2つ続けたときは線と線がつながるときと微妙に開くときがあります。PCによるとかフォントによるとかあるみたいです。
FFTリメイクの文章も「――」が多く、ザ・ファブルと似た雰囲気だそうな……
文章には書いた人の好みや癖が出ます。FFTリメイクの文章を書いた方に「――」好きがいてもおかしくありません。
「――」を使うと文章に間を持たせることができます。ライトノベルを読んで育ってきた僕も大好きです。
しかし「語尾を伸ばしているように見える」という意見が出てきました。むむ、そんなことを言われると僕もそんな気がしてきちゃうんですけど!
台詞が結構変わっている?
これは「大幅に加筆修正している」「声優さんに合わせて変えたところがある」として以前から明かされていました。
そこに対する意見は「元の状態を重視するべきじゃない?」など。
更に、発売が間近になると「ここを変えたら結構雰囲気変わるんじゃない?」という部分がいくつか挙げられました。アグリアスやガフガリオンの台詞とか。
例として特に出されていたのはアグリアスの台詞。以前までなら「今更疑うものか!」で終わっていたところに「――そうだろ、ラムザ・ベオルブ!」と続きます。
その場面のラムザは「こいつもヤバいベオルブ家の一員なんですけど?」みたいに言われたところ。「お前はベオルブ家と関係ない。信用できる」とフォローする側のアグリアスが家名を出したらおかしいです。
僕はどう思った?
僕はこの流れを見てむしろニヤリとしました。
発売直前に「このゲームヤバくない?(←悪い意味でのヤバい)」という話が流れてきて炎上状態になるのは今どきよくあることだと思います。
「ロードが遅い」「戦闘バランスが無茶苦茶」みたいな話になっていたら、僕も覚悟を決めて遊び始めたはずです。
一方、実際に流れてきたのは「――」と台詞の変化です。
「――」を伸ばし記号と見間違えるかどうかは実際に読んでみないとわかりません。ザ・ファブルも僕から見るとそういう誤解をする漫画じゃありません。
台詞の変化も一部分を抜き出しただけだと評価しにくいです。例えば「僕はいつも少食だ……でも今日はたくさん食う!」という台詞の前半だけしか見ないと「今日も小食なんだな」と誤解してしまいます。台詞について判断できるのは会話の流れ全体を見てからです。
逆に考えると、台詞や文章で突っ込まれているということはゲーム的な部分に突っ込みどころがないのでは。
ネットを見ていると「予約取り消したよ……」みたいな意見もありましたが、僕はわりと安心して発売日前を過ごしていました。
完全に安心していたわけじゃないです。
「PSP版の要素がない」という部分はずっと引っかかっていました。やっぱり新キャラや新ジョブを付け加えてもらった方が楽しいです。「キャラやジョブに追加要素なし」というのがどう影響してくるのか……
他にもあったんですが、それは後ほど。
プレイ開始!
開始前の設定
本作はほとんどPS1版のままの「クラシック」といろいろ変化した「エンハンスド」があります。
僕はエンハンスドを選びました。どんなところが変わったのかよく見たかったからです。
今どきのゲームだからか難易度選択もできます。「カジュアル」「スタンダード」「タクティカル」の3段階です。
これは状況に合わせていろいろやってみる予定。育成するときはカジュアルでいいと思います。
プロローグ
まずは教会前でのバトル。
ここで頑張っても大きい影響はありません。それならネタに寄ったプレイをしてやるぜ! と、僕はラムザを教会の裏手に潜伏させました。
裏口から連れ去られていくお姫様、犯人は生死すらわからなくなっていた友……
それを間近で見ている(本当にすぐそば)ラムザ……声くらいかけてみようぜ!
見終えてから「ムービーが入るんじゃなかったっけ?」と思い出しました。画面で繰り広げられたのはPS1版と同じやり取りです。
ムービーは「ブレイブストーリー→紀行」で見る仕組みになっていました。「ムービーに切り替わると腰を折る形になる」「見たい人は後からご自由に」とメーカーの方々は判断したのかもしれません。
本編開始!
1章は回想編です。今どきはワンピースで「かつてこういうことがあった……」と繰り返し語るので、世間も回想シーンに慣れているんじゃないでしょうか。
過去の場面ですが、戦士斡旋所で汎用ユニットを雇うこともJP稼ぎでラムザたちを育成することもできます。
僕は「ゲームは簡単な方がいい」「それより育成やストーリーに専念したい」と考えているタイプ。つまりここでラムザたちを最強キャラにしてずっと楽々進めてもいいんですが、やりすぎるのも味気ないかも……育成はほどほどにして、ディリータとアルガスの装備をはいで(活躍しにくくして)進めました。
1章が始まって最初に嬉しかったのが戦士斡旋所。以前は候補を1人ずつしか見ていけませんでしたが、今回は15人ずつ見ていく仕組みです。厳選がはかどります。
以前は仲間の枠が少なく、15しかありませんでした。これだと最初からいるアカデミーの仲間はほとんどのプレイヤーが除名してしまいます。汎用ユニットを入れる隙間もありません。
今回は枠が50もあるのでぱんぱん状態にはならない……はず。真・女神転生でも仲魔の枠はどれだけ増えても足りなくなるもんな……
ラムザ、汎用ユニット、そしてすっぽんぽんのディリータ&アルガスでバトル……難易度を上げてもJP稼ぎを頑張れば楽に進められそうです。そこはプレイヤーごとに「自分は難しいゲームをしたいか、楽勝で進めたいか」と方針を考えて決めたらいいと思います。
遊んでいてずっと思っていたのは、物語もバトルもかなりサクサク進むこと。
フルボイス化されましたが、じっくり聞くことも飛ばしながら進めることもできます。
バトルも倍速で進められるので次々に戦えます。
ロードも引っかかったりせずかなり早いように感じました(僕が使っているのはSwitch2です)。
ボイスについて感じたことがありますが、長くなるので次の項目で。
特にいいと思ったこと
本作は「声を付けたこと」が発売前から大きく扱われていたと思います。
僕は「ボイスはあってもなくてもいい」くらいに考えているクチ。キャラメイクありのゲームだとわざわざボイスなしを選ぶこともあります(脳内設定に合う声がないと判断した場合)。
しかしイヴァリースクロニクルズは声が重要だと感じています。声と言うより声優さんたちの演技と言うべきかもしれません。
アルガスの演技
リメイク版で(1章までの範囲で)最もパワーアップしたと思うのがアルガス。
アルガスは元から憎まれ役キャラ。いろいろと憎たらしい行動を取り、プレイヤーのヘイトを集めます。FFTをやったことはないけどアルガスの無茶苦茶な台詞(家畜に神はいないッ!!)は知っている、というケースもあるくらいです。
声が付いたことで憎たらしさアップ! 声優さんの怪演によってかなり強化されています。
ディリータを煽ったりラムザを怒鳴ったり……ムカつくなぁコイツ!
もちろんアルガスもまた長く続いた争いの犠牲者ではありますが、それはそれとしてアルガスのFFTにおける役目は「ラムザとディリータを刺激して旅立たせること」じゃないでしょうか。より腹立つやつになったことで、役目をより強く果たしています。
なお、僕が最もいい演技だったと思うのは「俺は『絶対』なんて言葉を『絶対』に信じないけどな」の2回目の『絶対』の部分。冷笑的な雰囲気で満ちあふれています。
ミルウーダの演技
ミルウーダはアルガスから「家畜に神はいないッ!!」と言われてしまうキャラ。
憎たらしさアップ状態で罵声をぶつけてくるアルガスに対し、本作ではどう対抗するのか……
もちろんアルガスの暴言に絶句してしまわないと話が変わるので、流れは同じです。しかし声優さんは必死さをかなり表現していたと思います。
「こっちはいっぱいいっぱいなんだよ!」「あんたらは無茶苦茶するな!」と声を叩きつけ、最後は「こいつと話しても駄目だ」と黙り込む……そんなミルウーダの様子をつかみやすくなりました。
ガフガリオンの演技
ガフガリオンの声優さんは抜けたキャラを演じることもよくある方。一方、ガフガリオンは世間で起きていることに距離を置いたり斜に構えたりしながらも裏側では優しさを持つキャラ。
教会の場面ではさっそくドライな顔を見せています。「あんたたちに礼をつくす義理は――ない」の言い方がすごく気に入りました。
しかし2章を進めると隠していた顔をちらつかせてしまうことに……ネタバレを避けるために細かくは語りませんが、この表現は声優さんのボイスがないと無理。今風に言うと「エモい」ということになるんでしょうか。
声優さんのことだけじゃない
世間では「召喚の詠唱時間が短くなり、召喚士が強ジョブになった」と言われています。そういや僕はまだ召喚士をまだ使っていません。「白黒の方が使いやすいはず」と思い込んでいたせいです。
ブレイブストーリーで作中の情勢を見られるのも面白くて便利なところです。あっちこっちでいろいろなことが起きるので、どうしてもこんがらがってしまうことがあります。
上にも書いた枠の増加もかなりありがたい変更です。
FFTは育成が面白いゲーム。既成のキャラと違う自分だけのキャラを何人も育てられるのは嬉しいです。
突っ込まれていたこと
「――」が多い?
確かに多いです。しかし読んでいて気になったことはありません。
本作は声優さんの演技を聞かせるゲームでもあります。そのせいで文章にあまり集中していない、なんて理由もあるかもしれません。
そういや、「そうだろ」と言うキャラが結構多いような……文章の癖はやっぱりあります。
僕もあるんじゃないですかね。「それはよろしいのですが」はとあるゲームの好きな台詞なのでわざとしょっちゅう書いています。
台詞が変わっている?
発売前に「声優さんに合わせて台詞を変えた」という話が出ていました。それに対し、「元の味を重視するべきだったのでは?」という意見が出ていました。確かにそれはそうだ……
しかし、声優さんたちの名演技を聞いた僕は「声優さんに合わせた」ということをこう考え始めました。「声優さんたちのパフォーマンスを最大限に発揮する台詞に変更」という意味だったんじゃないか、と。
もちろんストーリーやキャラクターの補強もあると思います。
例えばアルガスは憎まれ役キャラですが、今どきは「悪役にもこういう悲しげな部分があって……」とか語られるのがわりと普通。アルガスもまた「実はこういう悲しさや葛藤があった」と内面をちらつかせてきます。
もちろんそれで全てが許されるわけじゃありません。しかしアルガスのキャラクター性に厚みができたはずです。
それと、以前はバトルの状況によって「家畜に神はいないッ!!」を聞き逃すことがありました(アルガスがさっさとやられた場合など)。
今回はバトルの最初に言い合うので絶対に聞き逃しません。これはいい改変。
上に書いたアグリアスの台詞も、物語の流れを通して見れば「これはこれであり」となるようです。
今回のラムザは「名家の一員なのにうまくやれない」「自分はこの家の者としてどうなの……」というところを強調されています。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、あの場面はラムザなりの「ベオルブ家」として決意するところ。
どうなのと思ったこと
こういうことも少しは書いた方が説得力アップらしいです。
戦士斡旋所でいっぺんに15人もおすすめしてもらえるので、厳選が前よりも楽!
それはよろしいのですが、そこまでさせてもらえるならボイスをプレイヤー側で選ばせてほしいです。「お好みの方を探すとなると経費が多めにかかります」ということで戦士斡旋所で多めに払ってもいいですので!
「キャラやジョブに追加要素なし」というのは今のところ気になっていません。元(PS1版)からあるキャラやジョブで満足しているからです。
しかしやり込んでいってやることが減ると「暗黒騎士があれば……」という感じで思い出しそう。

キャラ紹介にラムザの歳が出ていない……すごい歳になるネタが面白かったのに!

それはなくなってもいいでしょう?
不思議に感じていること
リメイクは難しいもののようです。大きく変えると「前のと全然違う」とつつかれ、あまり変えないと「前のと同じじゃんか」と言われてしまいます。
僕は発売前に本作のことを「前のと同じ」と言われる側じゃないかと思っていました。しかし発売されてみるとそういう意見を見かけません。
「PSP版の要素がない」も予想していたよりは聞かないような……
と言うか、そう思う方はそもそも買うのをやめてしまったのかも……
で、FFTリメイクは買い?
僕はまだ途中までしか遊んでいませんが、今のところ楽しめています。「――」が多いとか台詞が変わっているとかで避けてしまうのは惜しいんじゃないでしょうか。
少なくとも「昔好きだったゲームを現行の機種で」という意味では買いです。元のままのクラシックもありますし。
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当ブログのFFT関係で特によく読まれている記事です。
よろしければご覧ください。
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